2012年12月30日日曜日

Xerula sp T2

下のツエタケは9月29日にトドマツ林(近くには広葉樹あり)で採取した。


乾燥標本から切片を作り、顕微鏡で覗いてみると見えた胞子の表面は粗面のように見えた。
こんな胞子もあるのかな・・・と。
けれど9月に胞子写真だけは撮っていたので 見直してみると
よくよく見ると、胞子表面は薄いガラス質のような膜で囲まれ、平滑。
胞子の形とヒダに若干シミがあるので、これがミヤマツエタケ だろうかと思わされ
各組織を検鏡してみた。
傘表被がどうも・・・ミヤマツエタケとは違うみたいだ。それに側シスチジアの形状も一致しているとはいえない。

線画にしてみたけれど・・・種名のあるツエタケなのか、よくわからない。
(追記 、検索表をたどるとウスゲツエタケ亜属、オキナツエタケに行き当たる。
でも、資料に描かれている側シスチジアの形状とは少し違っている)

ツエタケはまた来年も折があれば採取し、どれがどの種と一つでも二つでもわかっていけたらと思っている。



2012年12月10日月曜日

チョット変わってる?

下のきのこは10月15日に羊蹄山麓で見かけたきのこ。
写真のきのこの傘径は7~8cmくらい、近くに老成したもので10cmくらいのものがあったので中型から若干大型になるだろうか。写真で見るとそれほど濃い色には見えないけれど実際には濃褐色~暗褐色。
乾燥標本にするとき、乾きにくいだろうと思いつつもたくさんのきのこを箱に入れ乾燥機にかけた。いつもよりは長い時間にしたので乾燥しているだろうと安易に考え、翌日まで箱にいれたままだった。夕方仕事から帰宅してみると、上のきのこは既に傷んでいた。久しぶりに調べてみようかとそんな気になったEntolomaだったのに残念と思いながら捨てた。11月初旬、再度羊蹄山麓まで出掛け、同じ場所へ行くと1本だけ出ていた。比較的遅い秋に出るきのこらしい。今度は冷蔵庫に入れたまま自然乾燥。

ずっと気になりながら、調べてもたぶん判らずじまいだろう・・・そんなんで1日1日延ばしにしていた。
でも検鏡の記録だけでも作らなくっちゃとやっと手を出した。ざっと見ると縁も側もシスチジアが見当たらず、本当にないのかよくよく見なくっちゃと倍率を上げ組織を見たとき、「えっ?」と見えたものがあった。
 これってどう見ても厚膜の担子器だよね。いや違うかもしれないとよくよく見てみると、やっぱり薄膜と厚膜が混在している。


 担子器が厚膜だからといって別段変わったことでないかもしれない。でも私はEntolomaで厚膜の担子器って初めて見た。へぇ~こんなのもあるんだ・・・と見入ってしまった。

2012年12月8日土曜日

柄シスチジアが・・・ない

 昨日の続きで、柄シスチジアの写真を撮ろうと顕微鏡の前に座った。
ところが、何度切片を変えても、柄シスチジアらしきものが見当たらない。
薄く切った切片の組織をバラして何度も見たけれど、やはりない。
どういうことだろう・・・。
資料を見てみると、キタカタチャシミツエタケに柄シスチジアは[absent]と記載され、思わずウッソーと思ってしまった。
ということは、やはりこのきのこはキタカタチャシミツエタケなんだろうか。
その可能性が強いよなぁ・・・と思いながら線画を描いた。



ツエタケの仲間には柄シスチジアがあるものと思い込んでいた。
そっかぁ・・・ないものもあるんだ、と今日は一つ認識した。

Xerula sp_T6

下の写真は、10月16日砂川市で見つけたツエタケ。
切り株から出ていて、根は材の中に入り込んでいたため、根の先は確認できていない。
採取し、冷蔵庫に入れたまま3日経ってから、冷蔵庫から出し撮ったのが下の写真。
ツエタケって古くなると、ヒダの色も変わるんだったけ?・・・と思いつつ、そのまま紙袋に入れ乾燥させた。

何日か前、日本産きのこ目録でツエタケを検索するとその中にベニヒダツエタケ(仮称)があり、記載先の北陸のきのこ図鑑を見てみると、ヒダは淡紅色。そんなツエタケがあるんだなぁ、と思っていた。そういえばあのきのこ(上の写真のツエタケ)もピンク色だったと、もしかしたら?と思い、きょうはT6の標本を引っ張り出してきた。
 検鏡してみると、縁シスチジアの形状が違うので、ベニヒダツエタケ(仮)ではなかった。
 担子器が、組織からなかなか離れずことのほか時間がかかってしまい、柄シスチジアまで検鏡できなかった。柄シスチジアが検鏡できたら、あらためて全体を1枚の線画にしようと思う。

 ところで、検鏡していてシスチジアの形状が何となく縁と側も似たり寄ったりで、こんなのもあるんだ・・・と思い、調べてみるとどうもキタカタチャシミツエタケに類似しているような・・・。
でも、キタカタチャシミツエタケは、傘表面が穴の開いたようなシワが放射状に著しくあるのと、ヒダには縁取りがなく、たぶんココア色のシミができてくる(?)ようで、乾燥してからでは該当するのかどうなのかよくわからない。上の写真を見るとヒダには何となく縁取りがあるように見えるし・・・やっぱ違うか・・・、生の時にちゃんと観察していなかったもんなぁ・・・と反省。

2012年12月7日金曜日

フキアゲマルミノツエタケ(?)


下の写真は 9月30日にSさんから頂いたツエタケ。
10月1日にブログに掲載した時には、種名までたどり着くことは出来なかった。たぶん、このツエタケはXerula globospora(フキアゲマルミノツエタケ)か、またはX. globospora類似種ではないかと思う。

2012年12月5日水曜日

?(ーー;)?

IndexFungorumを眺めていて、R.H. Petersenさんが2010年に新属Hymenopellisを設立したことは分かった。Hymenopellisにはどんな種があるのだろうと見てみるとHymenopellis chiangmaiaeがある。で、Xerulaを見てみるとXerula chiangmaiaeがあり、Xerula chiangmaiaeはXerula raphanipes (Berk.) DörfeltのシノニムということになっていてXerula raphanipesはCurrent Name。Hymenopellisの方にもHymenopellis raphanipesがあり、今のところHymenopellis はCurrent Nameになっていないということだよね?
増補改訂版「日本のきのこ」 がその属名を採用しているということは、R.H. Petersenさんの分類に賛同を支持している、もしくは今後主流になっていくだろう(それとも既に主流?の)新属とみているという事なのかな ?

それと、下のHymenopellisにはチェンマイツエタケが重複してるってことだよね?
 ツエタケも流動の最中ということか?


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ツエタケって、20倍か40倍の対物レンズで検鏡が済んでしまい
(油浸を使わなくて済むので楽チン)
シスチジアなどの組織がとても見やすいし好感の持てるきのこなんだけど
じつは~・・・って感じ。

2012年12月4日火曜日

XerulaからHymenopellis

先日、某MLで増補改訂版「日本のきのこ」初版第1刷の正誤表が下記URLで見られることのお知らせがあった。
http://www.yamakei.co.jp/products/detail.php?id=090440

その中で、
「P120
ブナノモリツエタケ
●学名 (誤)Hymenopellis orientaris →(正)Hymenopellis orientalis」


に目が留まった。
スペルミスに目が留まったのではなく、その属名。
これまで Hymenopellisという属名を知らなかった(日本のきのこをよく見ていなかった)。
長沢先生の「東アジア温帯産ビロードツエタケ属」(2006)で、ブナノモリツエタケはXerula orientalisになっていた。多分その後、Xerula(ビロードツエタケ属)からHymenopellis(ツエタケ属)が新設されHymenopellisに移行したのだろう。
 個人的にビロード状のエゾノビロードツエタケとビロード状ではないものとが同じ属?と思っていたのでXerulaからHymenopellisに移行したとすれば何の違和感もない。しかし、それは肉眼的所見の話で、分子解析の結果でこのツエタケはあっち、あのツエタケはこっちとかに所属別になっていたらチョット面倒だなぁ・・・そんなことをフッと思った。

2012年12月1日土曜日

課題がいっぱい

久々にミクロトームを使って、チャワンタケの乾燥標本から切片を作ってみた。
上の写真は対物レンズ4倍で、総合倍率40倍。
これを写真に撮ると画角スレスレでやっと画角内に収まるか収まらないか、といったところ。
自分には旧いCoolpix995が使い良いといっても
こんな時は、やはり画角がもう少し広く撮れるカメラが欲しいと思う。
手持ちの実体顕微鏡は40倍(接眼レンズによって60倍)まで拡大が出来るので、子実層から外皮托の全容を撮りたい時は実体顕微鏡の方が良い。しかし接眼レンズにカメラを取り付けて・・・と思うとアダプターはカメラの重さに耐えられずすぐに外れてしまい不具合。不具合なら自作すりゃ良いのだけど私にはアダプターを自作できる技量を持ち合わせていない(分からないからやる気がない、やる気がないから分からない・・・その悪循環ーー;)。

そのうち価格がおさまった頃合をみてニコンD5200を手に入れたいと思っている。
(入手できても当面はきのこカメラで使ってみることになるかな)
入手できてから顕微鏡取り付けに、これまでの悪循環払拭の奮闘を(少しだけ?)してみようと思う。

これまでチャワンタケというと、せいぜい胞子を撮ったり、子嚢をばらして子嚢の長さや側糸の形状を捉えるだけだった。実質層が2層になっていることも種の特徴なので、できれば(いつかは)この図も描けるようになりたいと思う。そのためには、よい検鏡写真が撮れることが必須、そのためにはよい切片作りが重要になってくる。
現在、ミクロトームを使うときは使い勝手の良い西洋剃刀を使っている。これは砥ぎを得意とするお師匠様に研いでいただいたので切れ味は抜群。しかし何度も使っていると当然切れ味が落ちるわけで、切れ味が落ちた場合の研ぎをある程度自分でも出来るようにしたいと思う。

風が吹けば桶屋が儲かるといった話じゃないけれど
良い図を描くには「研ぎ」、そこに辿りつく。ひとつの良い仕事をしようとするなら、そこに関わる色々なことがあり、課題は尽きることがない。

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下は、コンデンサーを替え、チョット弄っていたら暗視野になった画像。

このコンデンサーは、まだ使いこなせていないので、これまた練習要。 

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切片作り直し、コントラストを上げてみた。