2012年9月4日火曜日

スギタケの学名

以前(7月3日)、スギタケの学名がわからないことをブログに下記のように書き記していた。
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どれが本当の学名なのか、、、わからない。
日本のきのこ増補改訂版・・・Pholiota squarrosa (Weigel : Fr.) P. Kumm.
日本産菌類集覧・・・Pholiota squarrosa (O.F.Mull.: Fr.) P. Kumm.
日本産きのこ目録(幸徳氏作成)・・・Pholiota squarrosa (Batsch) P. Kumm.
日本新菌類図鑑・・・Pholiota squarrosa (Mull.: Fr.) P. Kumm.
IndexFungorum・・・Pholiota squarrosa (Vahl) P. Kumm.? or Pholiota squarrosa f. squarrosa (Weigel) P. Kumm.?
MycoBank・・・?
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と。
それに対し、N田先生から
日本で言うところの「スギタケ」が、果たしてPholiota squarrosaであるのか、まだ結論のついていないことを踏まえ、次のようにお教えいただいた。
(N田先生、ありがとうございます)

○日本産菌類集覧・・・Pholiota squarrosa (O.F.Mull.:Fr.) P. Kumm.
および日本新菌類図鑑・・・Pholiota squarrosa (Mull.:Fr.) P. Kumm.
 元の学名は、Agaricus squarrosus O.F.Mull., Fl. Dan. tab.491 (1783)
 とされる(伊藤・日本菌類誌2(5))が、Mull.は、Agaricus squarrosusの
 著者ではなく、 Fl. Dan. tab.491 (1783)には別の学名がついている。

○IndexFungorum・・・Pholiota squarrosa (Vahl) P. Kumm.
 元の学名Agaricus squarrosus Vahl, , Fl. Dan. tab.1191 (1797)は、
 別の菌(Stropharia)。また後続同名。

○日本産きのこ目録(幸徳氏作成)…Pholiota squarrosa (Batsch) P. Kumm.
 元の学名のAgaricus squarrosus Batsch, Elench. fung., cont. prim. 
  (Halle): tab. 31 (1786)は、後続同名

○日本のきのこ増補改訂版…Pholiota squarrosa (Weigel:Fr.) P. Kumm.
 Agaricus squarrosusの学名はWeigel, Observ. Bot.: 40 (1771)が最初。
 ところで、この種には、それ以前に、Agaricus floccosus Schaeff.,
 Fung. Bavar. Palat. 1: tab. 61 (1762)がつけられているが、
  Fries(1821)がAgaricus squarrosusの異名として扱っているので、
  命名規約により、Agaricus squarrosus Weigelが認可される。
 
結論:Pholiota squarrosa (Weigel:Fr.) P. Kumm.が正しい



Mull.は、Agaricus squarrosusの 著者ではなく
これについては、ガーンという感じ・・・。
つまり、最初に伊藤誠哉先生の間違いに気づかずに、そのまま今関・本郷先生が右倣えでその学名を使った・・・ということだよね。

一見、Agaricus squarrosus Batschは1786年で最も古いもののように思っていたけれど、でも実はWeigelさんの方が早かったということなんだ・・・と納得。

そんなわけで、ホームページに掲載していたスギタケの学名を訂正した。
 

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